コハルアン日乗

コハルアン店主の私的記録|器と工藝のこと|神楽坂のこと

奇しき景色

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前回、有田の陶山神社の話 でちょっとだけ触れたのが、陶祖・李参平。

李が陶祖と呼ばれる所以は、陶工の長として優れていたことに加え、磁器制作を産業として成り立たせるために必要な陶石の採掘場を町内の泉山で発見したから。
それから約400年。いまはここでの採掘はあまり行われていないようですが、ここの陶石がかつて有田焼を支えてきたのは、間違いない事実です。

長い時間をかけて削り取られた山の景色は、絶景、というか、奇景と言えるのではないでしょうか。
この圧倒的な景色を前にして感じるのは、地球が何億年もかけて作り上げた地形をたった400年で変えてしまう人の営みの激しさについてです。

別に、環境を変えてしまうからやきものを作ることがよくない、と言っているわけではありません。ただ、こうやって大地の恵みがもたらした物が磁器であることだけは知っておきたい思うのです。もっと抽象的に言えば、気が遠くなるような地球の歴史の中のひとしずくを加工して生きるのが、すなわち人間の営為なのだ、と。
だから、器を選ぶときには長く使うことを前提にしっかりと気に入ったものを選んで、日々の生活の中でそれらを愛おしみながら大事に使う。そういう心持ちを大事にしたいと思います。
やきものを売る人間としても、やきものを使う人間としても。


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