コハルアン日乗

コハルアン店主の私的記録|器と工藝のこと|神楽坂のこと

京都まで

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今年最後の出張は、今月訪れた京都。
日帰りだったので、自由時間は少なかったのですが、それでもいろいろ寄り道をしてきました。ちゃっかりと。

はじめてのお付き合いになる小林さんご夫妻のガラス工房に向かう道すがら、木屋町で白みそ仕立ての汁がメインのランチをいただき、寺町三条の古い喫茶店でコーヒーを飲み、そして東山五条にある河井寛次郎記念館を訪ねてきました。
河井寛次郎民藝運動の中心メンバーのひとり。民藝というと、鄙の地に根付いた工藝という感じがするけれど、この巨匠は五条に工房を築き、それが今も記念館として残されているのです。

京都のやきものと言えば、きらびやかな京焼の世界、または楽焼のような茶の器をが思い浮かびますが、河井のような民藝的エッセンスを重んじる作り手もいたのが面白いところ。
そこから見えてくるのは、京都という町が多層的、もしくは多面体であること。ミルフィーユのように各時代の文化が蓄積している上に、各地の文化が凝縮していて、都の記憶がいかに複雑に醸成されたものであるかがわかります。

今年は京都を含めていろいろな場所に出張に行ったけれど、いずれを訪れても感じたのは、物事を一面的に見てはいけない、われわれは多様性の中で生きているということでした。
どんな工藝も、見る角度を変えると見え方も変わるんですよね。その面白さに改めて気付かされました。

それはたぶん、我々が営んでいるような『店』(および『場』)についてもあてはまることかもしれません。
本当は今年の反省をしなければいけない時期なのだけれど、もうその辺はすっ飛ばして、反省というより、来年に向けた店づくりに心が走り始めているところです。

旅は感性の燃料。
来年もまた出かけよう。


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