コハルアン日乗

コハルアン店主の私的記録|器と工藝のこと|神楽坂のこと

はしご癖

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40代半ばあたりから目に見えて酒量が減っていたのだけれど、昨年の中頃からは、いよいよお酒を受け付けない体に。
これまで「NO SAKE, NO LIFE」な人間だったので、はじめは「こりゃあまいったなあ」と困惑したものの、最近になって「これはこれでいいかもね」などと状況を受け容れられるようになってきました。
まわりを見渡してみると、同世代の友人たちも、ほぼ同時期にお酒がダメになってきてしまったようだし。
今のところ、いわゆるノミニケーション(←おっさんか!←そうだよ!)がなくても交友関係には特段支障なし、という感じです。

ただ、美味しいものを食べるのは好きなので、お酒を呑めなくなったことで食の楽しみが半減してしまったのは残念。
お酒を呑みながら料理を食すると、「酒+料理」ではなくて「酒×料理」になりますからね。酒が引き起こすそういう化学変化を楽しめなくなったことに関しては、とても残念に思います。

そういえば、お酒をバンバン呑んでた頃にはよくはしご酒をしたものですが、そういう癖(ヘキ)ってなかなか抜けないものですね。呑めなくなった現在、よくやってしまうのが「喫茶店のはしご」。
お酒を呑まない分、コーヒーを飲む回数が増え、その分、あちこちの喫茶店を巡ることに。休みの日だと、渋谷→神保町→新宿→西荻という感じで、お気に入りの4軒をはしごしてしまうことも。
店では本を読んだり、連載コラムの構成を考えたり、インスタを更新したりするけれど、居座る時間のほとんどは、ただぼーっとしてるだけ。
この、ぼーっとする時間ってすごく大事ですよね。お酒を飲んだときのふわふわした心地良さも捨て難いわけですが、カフェインで冴えた脳がまっさらの真空状態になる感覚、わりと気に入っています。

これからは、お酒を呑んでた時代とは思考や美感が微妙に変わってゆくんだろうなあ。
でも、何かを失うことは、新しい何かを得ることなのかも。
思うほど悪くないよね。たぶん。


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