コハルアン日乗

コハルアン店主の私的記録|器と工藝のこと|神楽坂のこと

いい意味で

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日本語って、うつろいやすい言語ですよね。
どうにかすると、言葉が持っているニュアンス自体、時代とともにがらっと変わってしまうこともあります。

僕の中では、その代表格が「ヤバい」。

20世紀には「ヤバい」と言えば、悪い意味合いで使っていたものだけれど、21世紀になってからこの方、「すごい」とか「面白い」とか、いい意味で使うことの方が増えているような気がします。
今でも20世紀的に使われることはあると思いますが、僕自身は、肯定的な意味の方で使うことがほとんどです。

いま開催している展示「新しい古典」では、この「ヤバい器」が数多くやってきており、今回出品してくれている福井在住の土本訓寛さん久美子さん夫妻は、失礼を承知で言うならば、まさにヤバい作り手。
届いた荷物を開梱して、ひとつひとつくるんである包みを開けるごとに、「ヤバい、これはヤバいよ…」と心の中で幾度も反復してしまいます。

このお二人の作品は、もっともっとたくさんの人の目に触れるべきだというのが、僕の考え。
前に チルチンびと広場のコラム でも綴っているけれど、モノを作ることの喜びが凝縮した小宇宙のような作品ばかりで、そこには工藝の原初的な空気が宿っているような気がするからです。

こちらのふたものも、造型を担当する訓寛さんの手の動き、そして加飾を担当する久美子さんの美意識、ふたつの要素がいい塩梅にミックス。
一見すると寡黙な印象だけれど、よーく覗き込んでみると、人の心をはっとさせる楽しい魅力に満ちています。

お二人には、これからもヤバい作り手でいてほしいと思っています。(←勿論いい意味で!)


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新しい古典 1/10-31 https://www.room-j.jp/gallery/2018/12/2019110.php