コハルアン日乗

コハルアン店主の私的記録|器と工藝のこと|神楽坂のこと

参考館まで

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同じ仕事を長く続けていると、こなれてくる部分もあるけれど、溜め込んだ情報や知識が頭の中でこんがらかってしまうことも多々あります。
スーパークレバーな人であれば、そういうことはまったくないのでしょうが、僕はただの凡人。始終こんがらかりっぱなしです。

そんなときは、いつもと違う空気に触れることも大事かな、と。

昨年12月の記事 では、京都五条にある河井寛次郎記念館に行った話をしましたが、昨日は、益子町にある参考館(人間国宝濱田庄司の旧宅を活かした美術館・収蔵館)へ。
数年ぶり三回目の訪問だったのですが、頭のなかを空っぽにして臨めば、それは「みたびのはじめて」。そう考えて、そこにある空気と向き合うと、これまでとは別の新たな感動を得られるような気がしてきます。

ちなみに、民芸運動の中心人物だった河井と濱田とは東京高等工業学校(東工大)の先輩後輩の仲で、生涯の友。
今回は、さほど日を置かずに、二人の旧宅(及び工房)を見学したので、20世紀中庸の陶芸や民芸のあゆみを俯瞰したかのような錯覚を覚えます。

昨日は平日だったので(おまけに午前中の訪問)、館内をひとりじめ。東京では味わえないような贅沢な時間を過ごすことができました。
「参考館」という名前は、作り手を志す人に、濱田の作品及び収蔵品を参考にしてほしいという想いから来たものだそうですが、それは僕のような器屋にとっても同じこと。ぜひとも、これからの日々の中で参考にしてゆきたいものです。
物事にこなれることなく、数年後にまた「よたびのはじめて」を味わえたらいいなあ、と思います。永遠のシロウトとして。


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