コハルアン日乗

コハルアン店主の私的記録|器と工藝のこと|神楽坂のこと

思えば遠くへ来たもんだ

f:id:utsuwa-koharuan:20190419160624j:plain


定休日を利用して、秋田を旅してきました。

秋田は、一度だけ角館を訪ねたことがあるけれど(←武家屋敷見学ね)、出張で行くのははじめて。
昨年の下半期は、うちの店を訪ねてきてくれた渡邊葵さん(角館・白岩焼和兵衛窯)の作品を扱い始め、さらには、これまで愛媛の手仕事を紹介してくれていたNowvillageの今村さんが秋田に移住。
そんなことが続き、見えないものに呼ばれているような気がしていたので、春が来るのを待って訪ねてきたのです。満を持して。

着いた日は、あいにくの雨。それもどしゃ降り……。
東京よりも10度以上も低く、冬に戻ったかのような天候だったのですが、雨に煙る農村の景色はまるで水墨画のような美しさでした。

秋田は全県的に過疎化がかなり進んでいると聞いていたけれど、今回の旅では良いモノ・良いヒトに会うことができたし、地霊の力が強い、というか、底力がある場所だなあ、という印象を受けました。
今回の旅の収穫については、このブログやお店で徐々に紹介してゆこうと思います。


実は、13年前に103歳で亡くなった母方の祖母は秋田出身。

つまり僕は、秋田のクオーターなんですよ。
ただ、祖母の一族(没落士族)は、祖母がまだ十代の頃に土地を離れ、北海道など東日本各地を転々とした末、昭和初期に東京に流れ着いているので、秋田にはもはや親戚と呼べる人たちはいないのです。
でも、50歳を目前に控えたこの時期(いわゆる人生の節目っていうやつ?)に、こうやって秋田と不思議な縁ができたのは、僕の後半生のことを心配した祖母が力を貸してくれたからなのかなあ、などと思えてきます。

英語では ”LIFE IS JOURNEY” なんていう言葉があるけれど、思えば、祖母はずいぶんと長い旅の果てに東京にたどり着いたんですよね。故郷を離れて。
僕は、東京で落ち着いた老後を送っていた祖母の姿しか知らないのですが、いったいどんな前半生だったんだろう。今になると、聞きたかったことがいくらでも頭に浮かんでくるけれど、結局聞けずじまいでした。
それでも、こうやって自分のルーツに関わる場所を旅することで、祖母とは今もつながっているように思えます。


コハルアン オフィシャルページ https://www.room-j.jp