コハルアン日乗

コハルアン店主の私的記録|器と工藝のこと|神楽坂のこと

木の工房

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やきもの以外の工房へ出かけてゆくことは稀な僕ですが、先月は笠間在住の木工作家・コウノストモヤさんの工房を訪問。
大きな家具を制作することも多いため、広々とした空間で、清々しい木の香りに満ちていました。

この日は、これから作ってもらう予定の器の原型を見せてもらいながら、大きさや形の微調整について話してみたり、使う木材に関する素朴な疑問をぶつけてみたり、短い時間ではありましたが、ほんの少しだけ木工についての造詣を深めることができたかなあ、と思います。
火力による化学的工程を伴うやきものやガラスとは対照的に、木工というのは、作り手の感覚や意思が鑿などの道具を通して素材にダイレクトに伝わってゆく工程が魅力。ものづくりの原初的な在りようを残す工藝だということが改めて確認できました。

僕がこの仕事に就いた18年前は、(漆器を除けば)木の器は海外のものがほとんどだったけれど、最近は日本人の感覚に合わせた日本の木工作品が増えてきており、お店としても、そういう工藝界のドメスティックな流れの一端を担ってゆけたらいいなあ、と思っているところ。
コウノスさんの手になる木皿は、現在開催中の展示「素材と工藝」で並べていますし、この次の展示「Romantique 2018 ―春のささやき―」でも新作を少し追加していただく予定。二期連続、ロングランでの出品となります。
コウノスさんの生真面目な手仕事には、展示と常設、両方通して、これからもきちんと寄り添ってゆきたいと思います。


コハルアン オフィシャルページ https://www.room-j.jp