コハルアン日乗

コハルアン店主の私的記録|器と工藝のこと|神楽坂のこと

静かに生きる

ずーっと前から、関西方面を旅する時に携行しているのが「Meets」(京阪神エルマガジン社)という町歩きガイドのシリーズ。 そして、こちらの別冊となる「ふだん遣いの神楽坂」という本が、9/18に刊行されました。 タイトルそのままの内容で、気取りはないけ…

金澤の思ひ出

ひとつの場所を短期間で複数回旅することはめったにないのだけれど、8月と9月は、立て続けに金沢へ。 一回目(8月下旬)は仕事、二回目(9月上旬)はプライベートで。私用だった二回目の滞在は、一回目に時間がなくて行けなかった場所に行ってきました。リベ…

夏の終り

この暑さの中で旅をするのは若干躊躇われましたが、今週は北陸出張を敢行。 先週くらいまではすごい熱波に襲われていた北陸地方ですが、金沢についたら東京よりちょっと涼しく、いい感じの出張日和。 まずは九谷の川合孝知さんのところに寄り、そのあと福井…

進むこと

いまどきの作り手は大変だな、と思います。本当はロングセラー的に同じテイストの作品を長く売っていけることが理想だと思うけれど、今の時代、それはなかなか難しいですからね。 世間のスピードに合わせて新作をどんどん世に出してゆかないといけないような…

上品な青

呉須絵具を使った青い絵付けの器・染付。陶芸の長い歴史の中、この技法は、400年近くも日本の磁器絵付けの王座を守り続けてきました。 この期間、日本人の食生活はかなり変わったはずですが、それでも変わらずに食卓で愛され続けるということは、染付が醸す…

書くお仕事

文章を書くことは、前から嫌いじゃなかったのですが、ここ最近、WEB媒体で文章を書く機会が増えています。二年以上前、「暮らしとおしゃれの編集室」で、朝食にまつわる四回完結の連載コラムの依頼を請けたのがはじまり。 次が、現在進行形の「チルチンびと…

監修する人

ホームページなどで既にアナウンスしているので、今更感はありますが、書籍の監修を担当したことをお知らせしておきますね。 タイトルは、「暮らしの図鑑 うつわ」。四つの器店の監修によってまとめられた本で、コハルの担当パートは「うつわをもっと楽しむ…

ピッチャー

秋田・中嶋窯の中嶋健一さんの手になるピッチャー。ピッチャー(水差し)というのは、民藝界隈でよく見かけるアイテムだと思います。 注ぐ器としてはもちろん、花器としても使いたくなる形状。なにしろ、鳥のような雰囲気が愛らしいですよね。民藝陶器の名工…

くるみのかご

ずっと興味があったけれど、うちの店で並べるにはもうちょっと勉強と調査が必要かな、と思ってこれまで扱いを躊躇ってきたくるみのかご。 秋田でNowvillageを主宰する今村香織さんのおかげで、6/14からの展示「初夏と夏の手工」でご紹介できることになりまし…

引き際の話

あと数か月で fifty years old になる僕ですが、時の流れの速さというのは本当にすさまじいなあ、と感じる今日この頃。実は、恵比寿に勤めていた時代から、20年近くも通い続けた渋谷のバーが先月末で閉店してしまい、現在、なんというか、心にぽっかりと穴が…

はじめてのガラス

お店では、基本的に、ずっと継続して制作をお願いしている作り手が多いのですが、ときには新たな取り組みも必要。 年に数名は、新たな作り手とのお付き合いをはじめています。うちのお店って、神楽坂という立地(いわゆる観光地ってやつですか)にも関わらず…

木彫のひと

富山県の井波ー。 神社仏閣の彫刻に関わる伝統技術が集積し、工藝界では、井波彫刻という名で広く知られた町です。鈴木美央さんは、その井波で修業した木彫家。 家族で営む鈴木彫刻所(福井県鯖江市)では、仏像や欄間など伝統的な彫刻を手掛けていますが、…

平成の思い出

2000年(ミレニアルってやつ?)を挟んだ10年間、僕が勤めていたのが、恵比寿ガーデンプレイスの中にある三越。 20世紀中は食品のフロアを担当、21世紀になってからは生活用品のフロアを担当。当時、恵比寿ガーデンプレイス(’95年開業)は、20世紀最後の大…

動物と工藝

日本の器の世界では、長寿を意味する鶴と亀など、加飾に動物のモチーフを用いることが多いような気がします。コハルアンでは、そんな日本ならではの美的感覚を意識して、今月の下旬から「動物と工藝」という展示をおこなう予定。 「動物の姿を器(および工藝…

湯呑のこと

二か月ほど前から執筆を担当しはじめた、WEBサイト「日本の美邸 Japan Quality」の輪番コラム。 毎回、日本の工芸作品をひとつ取り上げ、そのデザインについて書き綴っています。最新の記事では、「湯呑」について書きました。マグに押されて、湯呑が食卓で…

中嶋窯の深皿

先日の秋田出張では、はじめてのお付き合いとなる中嶋窯・中嶋健一さんを訪問。中嶋さんの器については、昨年、はじめて見たときにデジャヴ的な懐かしい感覚があり、「何だろう、この感覚は?」と不思議に思っていました。そのあと、いろいろとやりとりがあ…

思えば遠くへ来たもんだ

定休日を利用して、秋田を旅してきました。秋田は、一度だけ角館を訪ねたことがあるけれど(←武家屋敷見学ね)、出張で行くのははじめて。 昨年の下半期は、うちの店を訪ねてきてくれた渡邊葵さん(角館・白岩焼和兵衛窯)の作品を扱い始め、さらには、これ…

秩父の織物

関東には、銘仙と呼ばれる織物があり、その産地のひとつが埼玉県秩父市。 「秩父銘仙」という名前、着物好きの方であればご存じのことと思います。僕は着物や織物についてはまったくの素人。 絵柄の入った反物については、「先に染めた糸で反物を織るか(←絣…

消費される覚悟

新宿地下道の壁面を大きく飾っていたこのポスター、すごーく秀逸。 時代の寵児と言ってもいいマツコ・デラックスさんの個性をよく活かしていますよね。マツコさんのことはメジャーになる前から知っていて、その言動(+文章)を密かに楽しんでいたのだけれど…

日本の美邸

現在『コハル・ノート』という連載コラムを持っているサイト「チルチンびと広場」。 こちらには、「日本の美邸 Japan Quality」という別冊的姉妹サイトがあります。実際にご覧いただくとわかるのですが、各コンテンツとも日本語のテキストに付随して英訳を掲…

耳を傾ける

深みを湛えるよきたたずまいのムクロジの器。 いま展示しているコウノストモヤさんの木工作品たちの中で、唯一、木の割れをそのまま生かしているのが、このプレートです。 考えてみれば、我々人間だって、ひとりひとり顔も違えば考え方も違うもの。 きれいな…

災い転じて

「災い」とは突然やってくるから災いなのであって、前もってわかっていたら、それを災いとは呼ばないわけですよね。 何を言ってるんだ、という感じですが、わが店は先月、そんな不測の事態に襲われ、一か月をふいにしてしまったのです。その「災い」とは、パ…

厨子甕

先週行った益子参考館は、人間国宝・濱田庄司の旧宅を利用した美術館・収蔵館。 広い敷地の中には、濱田本人の作品だけではなく、生前の濱田が蒐集した膨大な工藝コレクションが所狭しと並んでいます。屋内だけではなく、大きな収蔵品屋外にも並べられている…

参考館まで

同じ仕事を長く続けていると、こなれてくる部分もあるけれど、溜め込んだ情報や知識が頭の中でこんがらかってしまうことも多々あります。 スーパークレバーな人であれば、そういうことはまったくないのでしょうが、僕はただの凡人。始終こんがらかりっぱなし…

掻き落とし

昨年秋の展示の際に飯碗を作ってくれた川島いずみさん。 今年最初の企画展「新しい古典」では、新たに中鉢や小鉢を作ってくれました。彼女が用いている「掻き落とし」という加飾技法については 昨年10月のブログ で説明しているので割愛しますが、中国古陶磁…

いい意味で

日本語って、うつろいやすい言語ですよね。 どうにかすると、言葉が持っているニュアンス自体、時代とともにがらっと変わってしまうこともあります。僕の中では、その代表格が「ヤバい」。20世紀には「ヤバい」と言えば、悪い意味合いで使っていたものだけれ…

はしご癖

40代半ばあたりから目に見えて酒量が減っていたのだけれど、昨年の中頃からは、いよいよお酒を受け付けない体に。 これまで「NO SAKE, NO LIFE」な人間だったので、はじめは「こりゃあまいったなあ」と困惑したものの、最近になって「これはこれでいいかもね…

九谷の香炉

九谷焼の作り手・川合孝知さんとはけっこう長いお付き合い。 これまで食器を中心に作ってもらってきたのですが、川合さんの筆致で描かれた色絵の香炉がほしいなーと思い続けていて、ようやくその願いが叶いました。絵柄は山水画をアレンジしたもので、ぐるり…

オオカミ

正月三日には、秩父をぐるり。 景勝地として有名な長瀞では、宝登山(ほどさん)という小高い山に鎮座する宝登山神社に立ち寄りました。ヤマトタケルの地方平定にまつわる説話は各地に伝わっているけれど、この神社のご由緒がまさにそれ。 宝登山上で神を祀…

あらたま

新しい年を迎えました。 今年もどうぞよろしくお願いいたします。昨年は店の名前を替えたこともあり、肩に力が入り過ぎていたというかなんというか、ペースがつかみきれない状態のままで一年を終えてしまった感じ。 「こうありたい」という気持ちばかりが先…