コハルアン日乗

コハルアン店主の私的記録|器と工藝のこと|神楽坂のこと

引き際の話

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あと数か月で fifty years old になる僕ですが、時の流れの速さというのは本当にすさまじいなあ、と感じる今日この頃。

実は、恵比寿に勤めていた時代から、20年近くも通い続けた渋谷のバーが先月末で閉店してしまい、現在、なんというか、心にぽっかりと穴が開いたような心持ちでいるのですよ。
20年とひとくちに言っても、忙しくてまったく足を運ばない期間もあったりしたから、店にとって良き常連であったとは言えないかもしれないけれど、自分にとってはやはり大事な店だったのだなあ、と今になって思い知らされています。

店主のTさんは、僕よりひと回りちょい年長の男性。
脱サラで店を始めて20年。その間ずっと繁盛し続けていたから、閉店のお知らせを聞いた時には驚いたけれど、それもTさんらしいなあ、と。
引き際の美学とでもいうのでしょうか。まだあと10年くらいはいけそうな感じがするけれど、余力を残した状態でやめる潔さには痺れました。かっこいいよね。

翻って自分について考えると、ああ、もう心配。
あと10年か15年経つと、引き際の見極めをしなければいけない時期が来そうだけど、さてどうなることやら。
僕自身、これまでかっこよく生きてきた経験がないので、いきなりかっこいい生き方をするのは無理。これからまだまだ紆余曲折ありつつ、ジタバタしながら生きてゆくのだろうなあ、と思います。たくさん足掻いて恥かいて、降り立つ場所を探してみたいですね。Tさんのように粋にはいかないけれど。

ちなみに、Tさんは美大の通信課程に在籍して、これまでできなかった勉強をするそう。
美しいものが好きな人だから、第二の人生(第三の人生?)としてぴったりかな。
僕も誘っていただき(願書ももらった)、できれば一緒に勉強したかったのだけれど、いまは時間的にも精神的にもなかなか余裕がない状況。今回、同級生として一緒に入学することは断念したけれど、自分なりのルーティンがうまく確立できた時点で、後を追いかけようと思っています。

この20年間、独立前も独立後も、事あるごとに人生相談をしたり愚痴を聞いてもらったりしたことが、昨日のことのように思い出されます。
サードプレイス的な自分の居場所がなくなるのは寂しいけれど、Tさんに対する感謝の気持ちを忘れないようにするとともに、新しい人生の門出を祝わなければいけませんね。

ていうか、僕の場合、引き際について云々する前に、fifty years old の扉を開ける準備に取り掛からなくちゃならんわけですが。


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